ホームページを作ったのに問い合わせが増えない|5つの理由と更新・改善設計

ホームページを新しくしたのに、問い合わせが前と変わらない。リニューアルの見積もりは小さくなく、デザインも「前より綺麗」と言われる。それでもフォームは静かです。このずれは、制作の失敗というより、綺麗であることと、相談したくなることは別の仕事だと気づいていないときに起きます。
見た目が悪いと信頼は落ちます。ただし問い合わせが増えない主因は、色や余白だけではありません。誰に何を約束するか(ターゲットとオファー)、次に何をすればよいか(導線と CV)、公開後に何を足すか(更新)が空のまま、トップが完成していることです。デザイン会社に「おしゃれに」とだけ頼むと、この3つは後回しになります。
この記事では、フリーランスのWebディレクター兼エンジニアとして、企業サイトの企画から実装、フォーム、運用まで見てきた立場から、問い合わせが増えないときに見る5つの理由と、着工前と公開後に仕込む設計を整理します。費用の実額や「毎月何件」といった、確認できない数字は出しません。現場で繰り返される型です。
問い合わせが増えない、5つの理由
1. 誰に何を伝えるかが曖昧(ターゲットとUSPの欠如)
「何でもできます」「お客様第一」は、検索にも比較にも残りません。相談する人は、自分の業種・予算感・いま困っていることに近い文を探します。全部の業種を平等に書くと、どの業種にも刺さらないページになります。着工前に、最初の6か月は誰の、どの状態を、どこまで引き受けるかを1枚に書いてください。載せない対象を決める方が、問い合わせの質は上がりやすいです。
2. アクセスが足りていない
サイトは置いておくだけでは増えません。検索(SEO)、地図・店舗情報(MEO)、広告、紹介、SNS、営業の名刺とメール署名。どれか一つでも「流入の入口」が無いまま、CVR だけを責めても母数が足りません。リニューアルで表示が速くなっても、インデックスも被リンクも、前日の評価を引き継ぐとは限りません。公開はスタートで、集客のセットが無いと「綺麗な名刺」で終わります。
3. 問い合わせのハードルが高すぎる
選択肢が「今すぐ見積もり」「営業電話」だけだと、情報収集の段階の人は閉じます。資料(対象範囲と進め方)、よくある質問、事例、料金の考え方、軽い相談(内容が固まっていなくても送れるフォーム)のように、検討の深さに合わせた次の一歩があると、同じアクセスでも送信は増えます。LINE やチャットは業態次第です。無いチャネルを無理に増やさず、今あるフォームの前に「何を聞くか」を短くする方が先です。
4. フォームとスマホで離脱している(EFO)
項目が多い、必須が分からない、送信してからエラー、電話番号が数字キーボードにならない、ボタンが親指の届かない位置、ファーストビューの動画で回線が止まる。これで CVR は静かに落ちます。PC のカンプで綺麗でも、実機の片手操作で詰まるサイトは珍しくありません。
5. 作って終わりで、更新が止まっている
お知らせが数年前、事例がオープン当初のまま、ブログが「準備中」。人は「いま動いている会社か」を日付で見ます。検索エンジンも、実質的な更新が無いページを、新しい質問の答えにしにくいです。更新はお知らせの儀式ではなく、事例・対象・よくある誤解を足すことです。
「作っただけ」のサイトと、問い合わせが続くサイト
固有の社名や件数は出しません。
悪い例:華やかだが、次の行動が見えない
ヒーローに大きなループ動画、スクロール演出が続く。スマホでは読み込みが遅く、メニューの奥に「Contact」と英語だけ。本文は理念と実績写真で、対象の悩みが一行も無い。フッターにだけフォーム。見た目の完成度と、相談のしやすさが一致していません。
良い例:単純でも、誰向けかと次の一歩が繰り返される
ファーストビューで対象とできることが読める。各セクションの末尾に、同じ言葉の CTA(例: 相談する)。事例と FAQ が定期的に増える。デザインは抑制的でも、検索から来た人が「自分のことだ」と判断できる。件数の保証はありませんが、同じ流入でも送信までの迷子が減る構造です。
【フェーズ・職種別】制作と運用で仕込むこと
Webディレクター / デザイナー:制作・設計
「とりあえず問い合わせ」をフッターに置くだけでは、途中で離脱します。Z 型(視線が左上から右、次の行へ)や F 型(見出しと左端をなぞる)は、絶対法則ではありません。実務では、最初の画面で対象が分かり、主要な CTA が予測できる位置に同じラベルで出ることが先です。ヘッダー、ファーストビュー、サービス末尾、事例のあと、に同じ「相談する」を置く。色だけ変えたボタンが3種類あると、どれが本番か分かりません。
検討段階に応じて、軽い行動と重い行動を分けます。資料や事例一覧は情報収集、フォームは相談。両方を同じ「今すぐ契約」の文にしない。
ミニ事例です。フォームがフッターのみだと、サービス説明の途中で終わります。各ブロック末尾とヘッダーに同じ CTA を置いたページは、スクロールの途中で次の行動が取れます。CVR の数字はサイト次第です。測るなら、公開前後でフォーム到達と送信を分けて見てください。
フロントエンドエンジニア / コーダー:実装
モバイルを先にします。Core Web Vitals は、大きい画像と自動再生動画、レイアウトずれで壊れやすいです。LCP になるヒーロー画像は寸法を予約し、装飾動画はユーザー操作か、低速回線では出さない。問い合わせボタンは、ホバーだけで成立させない(タッチデバイスにホバーは無い)。
フォームは、送信前に足りない項目が分かるようにします。郵便番号からの住所補完は、日本の企業サイトでは離脱を減らしやすいです。ライブラリは運用方針に合わせて選んでください。
悪い例です。エラーが送信後の画面遷移だけで、項目の横に出ません。
<form action="/contact/" method="post">
<input type="text" name="tel">
<button type="submit">送信</button>
</form>改善の骨子です。入力の種類、自動補完、必須、エラーの関連付け。ホバーは強調であり、唯一の手がかりにしない。
<form class="js-contact" action="/contact/" method="post" novalidate>
<p>
<label for="email">メールアドレス(必須)</label>
<input
id="email"
name="email"
type="email"
autocomplete="email"
inputmode="email"
required
aria-describedby="email-error"
>
<span id="email-error" hidden></span>
</p>
<p>
<label for="tel">電話番号</label>
<input
id="tel"
name="tel"
type="tel"
autocomplete="tel"
inputmode="numeric"
>
</p>
<p>
<button type="submit" class="c-cta">相談する</button>
</p>
</form>.c-cta {
min-height: 44px;
padding: 0.75rem 1.25rem;
background: #160076;
color: #fff;
border: 0;
}
.c-cta:hover,
.c-cta:focus-visible {
background: #0d0047;
}
.c-cta:focus-visible {
outline: 2px solid #160076;
outline-offset: 3px;
}const form = document.querySelector(".js-contact");
const email = document.querySelector("#email");
const error = document.querySelector("#email-error");
form.addEventListener("submit", (event) => {
if (email.validity.valid) {
error.hidden = true;
return;
}
event.preventDefault();
error.hidden = false;
error.textContent = "メールアドレスの形式を確認してください。";
email.setAttribute("aria-invalid", "true");
email.focus();
});リアルタイム判定は、入力中に赤く出しすぎると煩雑です。フォーカスが外れたとき、または送信時が扱いやすいです。
Web担当者 / 運営者:運用・更新
事例、導入の条件、お客様の声(掲載許可があるものだけ)、よくある質問を、月1でも足す。半年間ゼロより、短い事例1本の方が「動いている」合図になります。数字を作れ、ではありません。許可と事実の範囲で書く。
GA4 と Search Console で、よく見られているページからフォームへのリンクが無いかを見ます。ブログだけ伸びて問い合わせが無いなら、記事末に同じ CTA と、対象サービスへの内部リンクが足りないことが多いです。解析は「数字を眺める」ではなく、次に足す1リンクを決めるために使います。
ミニ事例です。公開後に触らず、お知らせがオープン告知のまま、という型があります。毎月、事例か FAQ を1つ足したサイトは、同じキーワードでも説明が厚くなります。順位の約束はできません。信頼と内部リンクの材料にはなります。
クライアントは知らない。先に共有すること
公開日はゴールではなく、仮説の開始です。PDCA は標語ではなく、月1で「どこが読まれ、どこで離脱し、何を1つ変えるか」を決める会議です。お知らせの季節の挨拶より、ユーザーの悩みに答える事例と、対象外の明示の方が問い合わせのミスマッチを減らします。制作費の話と、月の更新枠の話は、見積もりの段階で分けて伝えてください。後者をゼロにすると、前者の効果は時間とともに薄れます。
「無料で診断します」と約束する必要はありません。できるのは、いまの導線・フォーム・更新状況を一緒に見て、次の一手を切ることです。
Webサイト問い合わせ改善・着工&運用チェックシート
必須だけ合意し、残りは四半期で足します。
チェック項目 | 担当 | 改善のアクション |
|---|---|---|
最初の6か月の対象 | ディレクター / 経営 | 誰の、どの課題を、どこまで引き受けるかを1枚にする |
USP とやらないこと | ディレクター | 「何でも可」をやめ、対象外を本文に書く |
流入の入口 | マーケ | SEO / 広告 / 紹介 / 地図のどれを本線にするか決める |
ファーストビュー | デザイナー | 対象と次の行動が、画像を待たずに読める |
CTA の言葉と位置 | ディレクター / デザイナー | 同じラベルを、FV・見出し下・ヘッダーに置く |
2段階の次の一歩 | ディレクター | 事例・FAQ・相談フォームなど、検討の深さで分ける |
フォーム項目 | ディレクター / エンジニア | 必須を減らす。電話とメールの両方必須を疑う |
スマホの押しやすさ | エンジニア | ボタン高さ、キーボード種別、エラー位置 |
表示速度 | エンジニア | ヒーロー動画の見直し、LCP 画像の最適化 |
事例・声 | 運営 | 許可のある範囲で定期追加。数字の創作はしない |
解析 | 運営 | よく見られるページから CTA と内部リンクを足す |
更新のリズム | 運営 / ディレクター | お知らせではなく、悩みを解く1本を月次で予定する |
公開後の役割 | 契約 | 制作と運用の境界、月次の作業枠を見積もりに書く |
まとめ:問い合わせは、公開後の設計で伸びる
綺麗なホームページは、信頼の土台にはなります。問い合わせは、誰に何を約束し、次に何をしてもらい、公開後に何を足すかで決まります。原因を「デザインが気に入らない」だけにすると、同じズレでリニューアルが繰り返されます。
- ターゲットとやらないことを先に書く
- 集客の入口が無いまま CV だけを見ない
- 相談のハードルを、検討段階に合わせて分ける
- フォームと速度は、スマホの実機で落とす
- 更新は挨拶ではなく、事例と FAQ
既存サイトなら、トップ、よく見られている1ページ、フォームの3点だけ、対象の一文と CTA と最終更新日を並べてみてください。診断商品ではなく、その3点の穴から一緒に切れます。
導線・フォーム・更新方針の見直しは、相談・お問い合わせからどうぞ。内容が固まっていなくても構いません。